研究班員の紹介

  • 研究代表者

    高梨 潤一

  • 研究分担者

    佐久間 啓

  • 研究分担者

    前垣 義弘

  • 研究分担者

    奥村 彰久

  • 研究分担者

    村山 圭

  • 研究分担者

    永瀬 裕朗

  • 研究分担者

    酒井 康成

  • 研究分担者

    阿部 裕一

  • 研究分担者

    小俣 卓

  • 研究分担者

    九鬼 一郎

  • 研究分担者

    星野 愛

  • 研究協力者

    水口 雅

  • 研究協力者

    後藤 知英

  • 研究協力者

    西山 将広

  • 研究協力者

    多田 弘子

  • 研究協力者

    室伏 佑香

研究代表者

高梨 潤一Jun-ichi Takanashi

東京女子医科大学八千代医療センター 小児科 教授

千葉大学の学生時代は準硬式野球部に所属し、現在も高校野球(銚子商業、習志野高校)、サッカー(JEF千葉)観戦を趣味としています。卒業後は千葉大学小児科の神経グループ、亀田メディカルセンター小児科、そして現在の東京女子医科大学八千代医療センターで小児神経疾患の診療にあたってきました。
急性脳症は発熱に伴って意識障害、けいれん重積で発症する日本のこどもに多い重篤な疾患で、いまだに発症のメカニズムや治療法が確立していません。私は亀田メディカルセンター放射線科、カルフォルニア大学小児神経放射科で脳MRIを学び、急性脳症の診断に役立てるとともに、MRスペクトロスコピーを用いて脳に何が起きているのか、その病態解明を継続してまいりました。急性脳症の研究班は水口雅先生(東京大学名誉教授)が長らくけん引され、診療ガイドラインの策定など小児科診療に貢献されました。水口班を継承するこの研究班は、小児急性脳症の早期診断・最適治療の確立、新たな診療ガイドラインの策定を使命としています。研究班の先生方とともに頑張りたいと思います。

研究分担者

佐久間 啓Hiroshi Sakuma

公益財団法人東京都医学総合研究所 脳・神経科学研究分野 プロジェクトリーダー

1993年に東京医科歯科大学医学部を卒業後、小児科医として同大学や国立精神・神経医療研究センター病院などで20年余り働いてきました。その後研究の道に入り、国立精神・神経医療研究センター神経研究所を経てXX年からはこどもの脳プロジェクトというユニットを主宰しています。幸いにして多くの若い小児神経科医師の皆さんが私たちの研究室に学びに来てくれています。
主な研究テーマは炎症・免疫性神経疾患で、急性脳症の中でも特に難治頻回部分発作重積型急性脳炎という疾患の研究に取り組んでいます。急性脳症という病気は世界的に見ると注目度が低く、このために原因究明や治療法開発がなかなか進まないことが問題になっています。私たちの研究室では患者様の血液や脳脊髄液などの臨床試料を用いて急性脳症においてどのような免疫反応が起こっているのかを詳しく調べ、同時に基礎的な研究も行うことで病気の全容を解明すべく努力を続けています。
スポーツを観るのが大好きで、特に水泳(大学時代は水泳部)とサッカー(特にワールドカップ)は「狂」がつくほどのファンですが、最近は忙しくてあまり楽しむ時間がないのが残念です。

前垣 義弘Yoshihiro Maegaki

鳥取大学医学部 脳神経医科学講座 脳神経小児科学分野 教授

鳥取大学医学部卒。鳥取大学医学部脳神経小児科に入局し、小児神経疾患を全般的に診療するなかで、てんかん重積状態およびその後遺症に興味を持つようになりました。1990年代終わりに拡散強調画像が臨床応用され、今まで見えなかった急性期脳障害が見えるようになり衝撃を受けました。以後、急性脳症の早期診断や治療法に関心をもち臨床研究を続けています。特に脳波解析による急性脳症の早期診断法の開発と急性脳症動物モデルの作成と応用が現在の私の研究テーマです。私の教室のテーマは、科学的思考を持ち患者・家族に寄り添える医師(小児神経科医)の育成です。そのために、最新・最善の治療をチームで提供することを目標に日々医局スタッフと共に診療に当たっています。先端医療として、Gaucher病のシャペロン療法に取り組む一方で、医療的ケア児や発達障害児、てんかん患者の地域連携にも教室として取り組んでいます。また、日本小児神経学会では、小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドラインの策定に関わっています。
急性脳症の班会議では、脳波解析による急性脳症の早期診断法の開発や小児てんかん重積状態ガイドラインの策定に取り組んでまいります。
ホームページ:https://www.med.tottori-u.ac.jp/nousho/

奥村 彰久Akihisa Okumura

愛知医科大学医学部 小児科 教授

愛知県の出身で、平成1年に名古屋大学医学部を卒業しました。名古屋大学や順天堂大学での勤務経験の後、愛知医科大学の小児科の教授を拝命しております。いろいろなことに興味を持つ性格のせいか、小児神経分野でも新生児脳障害・てんかんなど様々な疾患に携わってきましたが、1997/98シーズンのインフルエンザ脳症の流行をきっかけに、急性脳症の研究も開始しました。
急性脳症については、東海地区では愛知県の4大学医学部の小児神経科医を中心として毎年症例検討会を開催しております。この検討会から、急性脳症の臨床像などについては様々な知見を得ることができました。また、家族性MERSの家系の遺伝学的解析からMYRF遺伝子の関与を見出しました。現在は、病原体ごとの急性脳症の特徴にも興味を持って、調査・研究を行っております。高梨班では、小児の急性脳炎・脳症をより適切に診療するためのガイドラインの策定に貢献できるよう努力したいと思います。

村山 圭Kei Murayama

順天堂大学大学院医学研究科 難治性疾患診断・治療学講座 / 小児科学講座 教授、千葉県こども病院 代謝科 非常勤医師

幼い頃からサッカー少年でした。今でも気持ちは変りません。卒業後は千葉大学小児科の代謝・肝臓グループに所属し、埼玉医科大学小児科や千葉県こども病院で先天代謝異常症を中心に診療を行ってきました。
2014年からAMED実用化研究事業においてミトコンドリア病の診療基盤構築を進めており、これまで多くの新規遺伝子や各病型における遺伝学的特徴・予後などを報告しています。ミトコンドリア病における診断・治療の国際連携も展開しています。また代謝救急については全国からの診断や治療の相談を受けています。急性脳症は代謝救急としての対応も重要であり、先天代謝異常症を確実に鑑別する必要があります。先天代謝異常症と診断されると特異的な治療法が開かれてきます。希少難病である先天代謝異常症は解決しない問題も多いですが、少しでも子どもたちの輝く未来のために貢献できれば幸いです。本研究班の先生方とともにより良いガイドラインを創っていきたいと思います。

永瀬 裕朗Hiroaki Nagase

神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野 こども急性疾患学 特命教授

1997年に神戸大学を卒業し、小児科に入局しました。大学院では新生児学・神経学・発達行動小児学分野を学び、この間、新生児低酸素性虚血性脳症に対する低体温療法の動物研究に携わりました。ジョンスホプキンス大学生化学教室の留学を経て、2005年から10年間兵庫県立こども病院で小児神経救急集中治療に従事し、数多くの急性脳症の子どもたちを診療する機会を得ました。
急性脳症は重篤な希少急性神経疾患です。クリティカルサンプルの夜間の処理・保存、全身状態が悪い中でのMRIなどの評価、治験立案など様々な点において困難があります。このような制約の中、私たちは、急性脳症は新生児低酸素性虚血性脳症などと同様に、神経救急・集中治療の枠組みで捉えることが必要であると考え、臨床像を「分から時間単位」で記載したデータベースを構築、プロトコルを定めたヒストリカルコホート研究で、急性脳症リスクスコアの構築、治療法による予後の比較、バイオマーカーの動態解明に取り組んできました。
2015年に神戸大学に異動してからは、これまでの取り組みを発展させた多施設共同前向きレジストリ研究に着手しています。急性脳症に罹患する子どもたちの転帰の改善に微力ながら貢献できればと考えています。

酒井 康成Yasunari Sakai

九州大学大学院 成長発達医学分野(小児科学)
准教授

福岡市生まれ、1995年九州大学卒業。DNA修復に関する研究で学位取得後、小児神経学を専攻。趣味は盆栽。高校時代に教えていただいた授業の中で、最も感動した物語は、光合成におけるカルビン回路・光リン酸化反応という、二酸化炭素から炭素がだんだん増えていく化学反応が起きるシステムです。悩んで出した答えの一つずつが、より良い研究成果として患児・ご家族にお返しできるように、地道に努力してまいりたいと存じます。

阿部 裕一Yuichi Abe

国立成育医療研究センター 小児内科系専門診療部 神経内科 診療部長
同センター もみじの家 診療部長

1992年横浜市立大学文理学部理科卒業、同大学大学院1年在籍を経て福島県立医科大学に入学、1999年に卒業しています。東京大学医学部附属病院小児科、国立成育医療センター神経内科レジデント・専門修練医を経て、東京大学大学院医学系研究科に進学し、国立成育医療センター研究所成育遺伝研究部及び北里大学医学部分子遺伝学研究室にて全前脳胞症の原因遺伝子の機能解析についての研究を行って参りました。大学院修了後2011年埼玉医科大学小児科に講師として赴任し、山内秀雄教授のご指導の下で厚労省急性脳症研究班関連の研究として、副腎皮質過形成に伴う急性脳症、ヒトパレコウイルス3型関連急性脳炎・脳症の研究を行って参りました。2018年より国立成育医療研究センター神経内科へ医員として戻り2020年より現職、現在に至ります。当センターの特色として広域より最重症の急性脳症患者が搬送され、急性期の重症管理をする機会が多くあるので、詳細な臨床像の解明と治療面での予後改善に貢献できればと考えています。

小俣 卓Taku Omata

東京女子医科大学八千代医療センター 准教授・神経小児科長

神奈川県川崎市出身で,1995年に信州大学医学部を卒業しました.卒後は千葉大学医学部小児科学教室に入局し,千葉大学小児科,東京都立墨東病院,東京逓信病院,君津中央病院,千葉市立海浜病院などで小児医療の臨床研修を行いました.その中で小児神経学を専攻とし,高梨先生の率いる神経グループでご指導いただきました.平成17年から千葉県こども病院神経科に勤務しております.現在は主に急性脳症に対してミトコンドリア機能改善目的にビタミン類を投与するミトコンドリアカクテル療法と抗NMDA受容体脳炎をはじめとした小児の自己抗体介在性脳疾患の臨床研究を行っております.趣味はカブトムシの採集・飼育や熱帯魚の飼育で,毎年夏には近所の雑木林で虫捕りをしています.どうぞよろしくお願い申し上げます.

九鬼 一郎Ichiro Kuki

大阪市立総合医療センター 小児脳神経内科 医長

2002年に大阪市立大学医学部医学科を卒業し、大阪市立総合医療センターで研修医・研究医として働いてきました。急性脳炎・急性脳症、てんかん、遺伝性疾患など様々なこどもの神経疾患が数多く救急搬送されてくる中で、先輩方に指導を受けながら、「少しでも良くする方法はないか」を常に意識してきました。静岡てんかん・神経医療センターと大阪市立大学大学院では「Rasmussen脳炎の病態解析」の研究を行い、医学博士を取得しました。現在は大阪市立総合医療センター小児脳神経内科の医長として、こどもの脳の病気に関する日常診療と研究(特に脳炎・脳症の新規治療法の開発や出血性ショック脳症[HSES]の病態解明など)を行っています。日本小児神経学会では、急性脳症診療と関わりの深い「小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン」の策定にも関わっております。
急性脳症に罹患したこどもたちの後遺症を少しでも軽減できるように、急性脳症の早期発見・早期治療さらに発症予防できるように、と思っています。研究班のお力になれるように頑張っていきます。

星野 愛Ai Hoshino

東京都立神経病院 神経小児科

杏林大学医学部を卒業後に、東京大学小児科に入局。小児科研修後に東京都立神経病院、心身障害児総合医療療育センターで小児神経学・療育の臨床に携わり、東京大学大学院医学系研究科に進学。東京大学発達医科学教室にて水口雅先生のご指導のもと急性壊死性脳症の遺伝的素因の研究を行いました。大学院修了後は東京大学国際保健学専攻・発達医科学分野の助教として水口雅先生と共に急性脳症の全国疫学調査や遺伝的解析研究に携わり、また東京都医学総合研究所の佐久間啓先生にもご指導頂きながらmicroRNAに着目した急性脳症のバイオマーカー探索研究も行って参りました。 2021年から現職として、広く小児神経疾患の診療に従事する中で急性脳症の早期診断や最適な治療指針の重要性を実感しております。研究班の先生と協力しながら、これまでの急性脳症研究の経験を生かして、微力ながらお役に立てるよう努めてまいります。

研究協力者

水口 雅Masashi Mizuguchi

東京大学医学部名誉教授・客員研究員
心身障害児総合医療療育センターむらさき愛育園園長

1980年に東京大学医学部を卒業し、東京都立府中病院、同神経病院で小児科の臨床。1986年から東京大学病理、同脳研究所病理、ブリティッシュコロンビア大学神経学、東京大学小児科、国立精神・神経センター神経研究所で小児神経病理の研究。1996年から自治医科大学小児科、2004年から東京大学小児科で助教授。2007年から東京大学の国際保健学専攻・発達医科学分野の教授として、発達神経学・母子保健学の教育・研究と保健・医療の実践。特に急性脳症・結節性硬化症など子どもの神経難病の臨床・研究の体制確立や診療ガイドライン作成を主導してきました。2021年に東京大学を退職後も、急性脳症研究班のお手伝いを続けています。急性壊死性脳症やけいれん重積型急性脳症など重症・難治性の症候群の治療法の改善が、いちばんの目標です。

後藤 知英Tomohide Goto

神奈川県立こども医療センター神経内科 部長

筑波大学医学専門学群を卒業後、慶應義塾大学小児科で臨床研修を開始し、慶應義塾大学大学院・Harvard大学医学部Massachusetts総合病院神経科/小児神経科で大脳皮質発生に関する研究を行いました。その後、東京都立小児総合医療センター神経内科に勤務し、2014年から神奈川県立こども医療センター神経内科で診療を行っています。
東京都立小児総合医療センターに在職していたころ、感染症に関連した小児急性脳症という疾患概念が確立され始め、多数の患者さんを診断・治療しました。小児急性脳症は我が国に多く発症する疾患で、多くの場合で後遺症が残ります。原因の解明や早期の診断方法、有効な治療方法の確立を願っています。

西山 将広Masahiro Nishiyama

兵庫県立こども病院 神経内科 医長
神戸大学客員准教授

兵庫県出身で、学生時代は朝から晩までテニスの練習に明け暮れていました。2006年に広島大学を卒業し、姫路赤十字病院での研修後、2010年から兵庫県立こども病院に勤務し、急性脳症をはじめとした救急疾患、神経疾患の診療に携わりました。2014年から神戸大学大学院に進学し「てんかん重積状態の後遺症予測」「急性脳症の早期診断スコアの開発」「炎症性サイトカイン動態」などの研究を行いました。急性脳症に対する体温管理療法、ステロイドパルス療法の有効性についても研究してきました。
2022年から現職として、小児神経救急・集中治療の発展に向けて取り組んでいます。急性脳症の発病予測・発病抑止・治療法確立を目指し、後遺症が残るこどもたちを1人でも減らすことができるように全力を尽くします。

多田 弘子Hiroko Tada

千葉県済生会習志野病院小児科 科長

千葉県出身、千葉大学時代はバドミントン部に6年間所属しました。卒業後は髙梨先生が率いる千葉大学小児科の神経グループに所属し、MRIの大好きな高梨先生とたくさんのMRI、MRSに囲まれながらよく討論し勉強しました。その後はMRI画像を中心とした脳炎・脳症に興味を持ち、学会発表や論文を中心に活動してきました。妊娠出産を機に自宅近くの現職場に勤務しております。来年次男が中学生になるのでようやく子育てから少し解放されると期待しています。また東京都医学総合研究所こどもの脳プロジェクトリーダーの佐久間啓先生の元で客員研究員としてBio Plexを使用した脳炎・脳症などのサイトカイン測定・研究を行い病態の解明に取り組んでおり、様々な方向から脳症研究との関係が継続していることを嬉しく思います。髙梨先生の脳症への溢れる情熱、論文作成への情熱をいつも素晴らしいと思うばかりですが、髙梨班の研究協力者として脳症への飽くなき挑戦のお手伝いできたらと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

室伏 佑香Yuuka Murofushi

名古屋市立大学大学院 医学研究科 新生児・小児医学分野

筑波大学出身であり、卒後10年目となります。京都医療センターで初期研修、国立成育医療研究センターで小児科後期研修を行いました。以降、八千代医療センター、国立成育医療研究センター神経内科、島田療育センターはちおうじで小児神経疾患の診療を学ばせていただきました。
未熟者で至らぬ点もあるかと存じますが、今後ともご指導をいただけましたら幸いです。